プロジェクト型学習の特徴について、前回お話ししました。
今日は、プログラミング学習との関係についてお話ししたいと思います。
プロジェクト学習がプログラミング教育は、とても相性が良いのです。その理由を説明しましょう。
工夫と努力次第で何でも作れるから創造性を発揮できる
プログラミング学習では、何を作るにしても、必要な材料はパソコンだけです。
よほど特殊なプログラムでないかぎり、どんなに大きなプログラムでも1台で作る事が可能です。
すごく頑張ってプログラムをつくる子どもがいても、パソコンの容量が足りなくなることはありません。
パソコンの性能が低いから作れない、といったこともありません。
作るものの内容は、アイデア次第ということです。
逆に、プログラミングではなくリアルのモノ作りをテーマにしてプロジェクト型学習をする場合、例えば材料がブロックなら、ブロックの量に制限されてしまうので、工夫の余地が狭まってしまいます。
プログラミングなら、アイデアしだいでいくらでも成果を出せると言うわけです。
他者と協力する意義を体感し、スキルを身につけられる
小さなころから「お友達とは仲良くしましょう」「けんかはやめましょう」等と大人から言われています。
でも、なぜお友達とは仲良く、けんかをしてはいけないのでしょうか。
皆が幸せに生きていくことが目的であって、仲良くすることが目的ではないですよね。
チームで取り組むプロジェクト型学習では、結果を出すためには協力しなくてはなりません。
バラバラのチームではたいした成果を生み出せない、ということを身をもって知ることができるのです。
コミュニケーションが取れなければ、一人でしか仕事ができないことになります。
そうなると、できる仕事というのは非常に限られてきます。
ルーチンのみの仕事や、自分一人ですべてをできる範囲に制限されてしまいます。
アイディアも狭くなるし、自分のスキルに縛られてしまいます。
このようなことも、プロジェクト学習で知ることができるのです。
例え、飛び抜けて何かに秀でている子どもでも、様々な課題に対して安定して結果を出し続けることは出来ません。かならず苦手なことがあるからです。
だから、他の人と協力し、より良い成果を生み出すにはどうしたら良いのか考えます。
チームでの仕事に真剣に取り組む経験は、社会に出てから非常に役に立ちます。
プログラミング学習でも、その内容は多岐にわたります。
- どんなプログラムをするのか企画すること
- 使いやすい画面を設計すること
- 誰が見ても分かりやすい説明文を書くこと
- ミスなくプログラムを書くこと
- プログラムのミスを見つけて取り除くこと
- すみずみまでプログラムをテストすること
などなど沢山あります。
このように必要な役割が沢山あるということは、協業しやすいということでもあります。
1人で3つやる子ども、皆を仕切るリーダー役をする子ども、得意な作業を一手に引き受けて没頭する子ども….。どんなチームになるのか、どんなチームにするのか、選択肢は無限にあるので、全て参加する子ども次第になります。
これが、チームワークを学ぶ上で非常に良い結果につながるのです。
海外では、特定の分野に秀でた才能を持つ子どもや、IQの高い子どもをギフテッドと呼び、特別な教育を受けさせることがあります。
その中でも、プログラミングを使ったプロジェクト型学習がよく使われています。
そのような子どもは、得意なことは非常に能力が高いが、不得意なことは全然ダメという子どもが多いのです。
そんな子ども達にとって、重要なのは、自分の得意なことを最大限活用すること。
そのために、コミュニケーションや協調性を訓練し、チームに貢献できる社会性を身につけることです。
それにはプロジェクト学習が最適なのです。